★自然の丸太を積み上げるハンドカット・ログハウスをセルフビルドするためのワンポイント・ノウハウです。
さて前回のつづきです。
【全体の高さとレストアップを管理する方法】
管理は1段終わるごとにします。
全部のノッチ個所の寸法を測って、記録を残し、次の段(さらに次の段)の丸太選びをするということです。
ちょっとばっかり頭を使う作業です。
★全体の高さとは?
一番下の丸太の下面から、積み上げた丸太の上面までの寸法です。
最下段の下面に引っ掛け具を取り付け、そこにメジャーを引っ掛けて、最上段に水平器を当てて、その下面までを測ります。
★レフトアップとは?
ノッチを組んだ後の上部に残った寸法です。

★記録を残すとは?
測った寸法を現物に書いておくこととノートに書いておくことです。
現物には、スカーフ部の丸太で隠れてしまう部分に書きます。地上からも見えるように大きく書いておくといいですね。
※あと2つ数値を記入しておくと便利なんですが、これは別の機会に。

※昔の管理ノートの現物です。いろんなことが書き込まれていました。

★次の段の丸太選びとは?
高さの低いところには太めの丸太を、高いところには細めの丸太を選び、全体の高さの差が大きくならないようにします。
この差は標準的な高さの30mmくらい以内にすればいいでしょう。もちろん少ないに越したことはありません。
例:4mでテーパー40mmの丸太の場合は次のようになります。
●ハーブログ段は標準20mm+30mm=50mm以内
●シルログ段は標準で奇数段40mm+30mm=70mm以内
偶数段0+30mm=30mm以内
このくらいの差ならば、最終段の2~3段前から5~10mmくらいずつ修正し、最終段で水平くらいにすることもできます。
というか、最終段に向けて調整していく必要があるわけです。
※具体的な作業は、
●ファイナルスクライブ前に、高いノッチ部は少し下げて(プリカットで調整する)セットする。
●または、反対に低いノッチ部に木っ端などを入れて持ち上げてセットする。
下げたほうのグルーブ幅は少し広くなりますが、とくに問題にはならないでしょう。
こうすると、スカーフ下端部がオーバーハング(スクライバーの下の針がスカーフの下端を越してしまう)してしまうかもしれません。このときはノミなどでスカーフの下端を削って下げておきます。
☆こんな手間を解消するための誤魔化し手法。
スカーフ下端部をあらかじめ標準より10mmくらい下げておくのです。
見る人が見ると不格好ですが、だれも気が付かないとおもいますよ。笑
※ちょとテクニカル的ですが、最終段の高さは末口側が10mmほど高い方がいいです。
なぜかと言うと、水平の平面カットをするとき同じ平面幅くらいにすることができるからです。
このあたりは実際の丸太の木口を見て決めます。
ちょと難しいですかね。セルフビルドならそこまで気を使わなくてもいいかも。
※プロはできるだけテーパーが少ない均一な丸太を揃えることから始めます。こうすると後工程が楽になるからです。
それでも不都合な場合は、丸太を成型してしまうこともあります。実際には太めの丸太を曲面カンナで削って理想的な太さにします。ちょと手間がかかりますがね。
※次の次の段まで予測するには、それぞれ計算してみてノートに記入しておくといいですね。
ちょと面倒ですがやったほうがいいかも。
【しかしながら2~3段ごとに問題は発生します!】
高さが高いノッチ部でレフトアップが大きいことがあります。
ここには細い丸太を乗せたいのですが、ノッチで切り取られる分が大きく、残りが極端に少なくなってしまうことが発生します。
こうなるとノッチ部の強度が極端におちてしまいます。
★こんな時のために、救世主!「必殺ロックノッチ」があるのです。笑
この必殺技「ロックノッチ」。これだけはしっかり覚えておきましょう。
残り(正確にはレフトアップ-セトリングスペース)が丸太直径の1/3より少なくなりそうだったらロックノッチを使いましょう。
だいたいは丸太選択時にわかりますが、最終的にはファイナルスクライブしたときに判断します。
※ロックノッチのやり方は例の参考書に書いてありますが・・・わかりにくいかも?説明すべきか?あとで考えます。
※マシンカットのような均一な太さの丸太だったら、常に半分弱は残るのですがねぇ。
※ちなみに、ご存じでしょうが、それぞれの段で丸太の交差部分は4通りの組み合わせになります。
ですから、なるべくテーパーの小さい丸太が欲しいのですがねぇ。先っぽの方だとテーパーが大きいのですよ。
4通りの組み合わせです。以前の図をみてくださいな。
●末の上に末
●末の上に元
●元の上に末
●元の上に元
【丸太全部の素性リストを作る人もいますが・・・】
丸太選びをするために、丸太全部の素性を書いたリストを作る人もいます。
これには、番号と末口径、元口径、長さ、曲がり、節、傷、などが書いてあります。
このリストから必要な丸太を選んで、その番号の丸太を引き出してくるというわけです。
これを最初にやっておくわけですが、ちょと面倒です。分納があったらできませんし。
ボクは、丸太の木口(末口と元口)を揃えて並べて置いています。
一つの木口には末口径と元口径の両方を書いておきます。
こうすれば、片側から眺めて回転させることで、丸太の素性(曲りや節なども)をつかむことができます。
以上です。難しかったですかね。
【まとめると、次のようになります】
1、ハーブログ壁とシルログ壁の標準的な高さを知っておくこと。
2、その高さより30mm以内くらいに納めること。
3、その差を打ち消すために、次の丸太の太さを選ぶこと。
4、どうしようもなくなったら、「必殺ロックノッチ」を使うこと。
5、最終段は水平(または末口+α)くらいになるように調整していくこと。
まったく初めてでも、3段くらいやると慣れてしまうし、楽しいものです。
それ以降は短調過ぎて挫折してしまう人もいるくらいです。
むしろ、ここをどう乗り切ることができるか、が一番難しいところかも?
最後のころがまたオモシロイのですがねぇ。笑
ま、気楽にやったらいいですよ。所詮ログハウスは隙間が空くもんですから・・・。笑
隙間が空いたら泥や苔を詰めときゃいいです。これは大昔の話ですが、今はチンキング用のコーキング剤があるのでこれを活用したらいいでしょう。
★お願い★
●この記事の内容は、あくまでボク個人の方法や考え方です。
同じ物事でもいろいろな方法や考え方があります。
したがって、この記事に関しての議論・反論には応対しませんのでご承知ください。
●ただし、こういう記事を書いて欲しいというような要望やリクエストにはできる限りお応えしますので、コメント欄にお書きください。
●建築基準法の内容については情報が古いかもしれませんので、最新のもので確認してください。
やれやれ一段落です。どうも付録的な内容が多くなってしまうなぁ~。もっと端的に書くべきかなぁ?
次回からはいよいよ実際の作業について書いてみましょうかね。
丸太の皮はどう剥くのか?とか。
メジャーは常用として測定長が5mくらいで25mm幅がいいです。腰折れせずに2mくらいまで測れます。
よく落とすので頑丈なヤツがいいでしょう。スケールとかコンベックスとかも呼ばれますが何が違うのでしょうかね?
その他に使う丸太長によって、8mとか10m用を揃えておくといいですね。
レベルは50cm長くらいが標準ですが、壁の上部で使ったり腰袋に入れておくには30cm長もあると便利ですよ。


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さて前回のつづきです。
【全体の高さとレストアップを管理する方法】
管理は1段終わるごとにします。
全部のノッチ個所の寸法を測って、記録を残し、次の段(さらに次の段)の丸太選びをするということです。
ちょっとばっかり頭を使う作業です。
★全体の高さとは?
一番下の丸太の下面から、積み上げた丸太の上面までの寸法です。
最下段の下面に引っ掛け具を取り付け、そこにメジャーを引っ掛けて、最上段に水平器を当てて、その下面までを測ります。
★レフトアップとは?
ノッチを組んだ後の上部に残った寸法です。

★記録を残すとは?
測った寸法を現物に書いておくこととノートに書いておくことです。
現物には、スカーフ部の丸太で隠れてしまう部分に書きます。地上からも見えるように大きく書いておくといいですね。
※あと2つ数値を記入しておくと便利なんですが、これは別の機会に。

※昔の管理ノートの現物です。いろんなことが書き込まれていました。

★次の段の丸太選びとは?
高さの低いところには太めの丸太を、高いところには細めの丸太を選び、全体の高さの差が大きくならないようにします。
この差は標準的な高さの30mmくらい以内にすればいいでしょう。もちろん少ないに越したことはありません。
例:4mでテーパー40mmの丸太の場合は次のようになります。
●ハーブログ段は標準20mm+30mm=50mm以内
●シルログ段は標準で奇数段40mm+30mm=70mm以内
偶数段0+30mm=30mm以内
このくらいの差ならば、最終段の2~3段前から5~10mmくらいずつ修正し、最終段で水平くらいにすることもできます。
というか、最終段に向けて調整していく必要があるわけです。
※具体的な作業は、
●ファイナルスクライブ前に、高いノッチ部は少し下げて(プリカットで調整する)セットする。
●または、反対に低いノッチ部に木っ端などを入れて持ち上げてセットする。
下げたほうのグルーブ幅は少し広くなりますが、とくに問題にはならないでしょう。
こうすると、スカーフ下端部がオーバーハング(スクライバーの下の針がスカーフの下端を越してしまう)してしまうかもしれません。このときはノミなどでスカーフの下端を削って下げておきます。
☆こんな手間を解消するための誤魔化し手法。
スカーフ下端部をあらかじめ標準より10mmくらい下げておくのです。
見る人が見ると不格好ですが、だれも気が付かないとおもいますよ。笑
※ちょとテクニカル的ですが、最終段の高さは末口側が10mmほど高い方がいいです。
なぜかと言うと、水平の平面カットをするとき同じ平面幅くらいにすることができるからです。
このあたりは実際の丸太の木口を見て決めます。
ちょと難しいですかね。セルフビルドならそこまで気を使わなくてもいいかも。
※プロはできるだけテーパーが少ない均一な丸太を揃えることから始めます。こうすると後工程が楽になるからです。
それでも不都合な場合は、丸太を成型してしまうこともあります。実際には太めの丸太を曲面カンナで削って理想的な太さにします。ちょと手間がかかりますがね。
※次の次の段まで予測するには、それぞれ計算してみてノートに記入しておくといいですね。
ちょと面倒ですがやったほうがいいかも。
【しかしながら2~3段ごとに問題は発生します!】
高さが高いノッチ部でレフトアップが大きいことがあります。
ここには細い丸太を乗せたいのですが、ノッチで切り取られる分が大きく、残りが極端に少なくなってしまうことが発生します。
こうなるとノッチ部の強度が極端におちてしまいます。
★こんな時のために、救世主!「必殺ロックノッチ」があるのです。笑
この必殺技「ロックノッチ」。これだけはしっかり覚えておきましょう。
残り(正確にはレフトアップ-セトリングスペース)が丸太直径の1/3より少なくなりそうだったらロックノッチを使いましょう。
だいたいは丸太選択時にわかりますが、最終的にはファイナルスクライブしたときに判断します。
※ロックノッチのやり方は例の参考書に書いてありますが・・・わかりにくいかも?説明すべきか?あとで考えます。
※マシンカットのような均一な太さの丸太だったら、常に半分弱は残るのですがねぇ。
※ちなみに、ご存じでしょうが、それぞれの段で丸太の交差部分は4通りの組み合わせになります。
ですから、なるべくテーパーの小さい丸太が欲しいのですがねぇ。先っぽの方だとテーパーが大きいのですよ。
4通りの組み合わせです。以前の図をみてくださいな。
●末の上に末
●末の上に元
●元の上に末
●元の上に元
【丸太全部の素性リストを作る人もいますが・・・】
丸太選びをするために、丸太全部の素性を書いたリストを作る人もいます。
これには、番号と末口径、元口径、長さ、曲がり、節、傷、などが書いてあります。
このリストから必要な丸太を選んで、その番号の丸太を引き出してくるというわけです。
これを最初にやっておくわけですが、ちょと面倒です。分納があったらできませんし。
ボクは、丸太の木口(末口と元口)を揃えて並べて置いています。
一つの木口には末口径と元口径の両方を書いておきます。
こうすれば、片側から眺めて回転させることで、丸太の素性(曲りや節なども)をつかむことができます。
以上です。難しかったですかね。
【まとめると、次のようになります】
1、ハーブログ壁とシルログ壁の標準的な高さを知っておくこと。
2、その高さより30mm以内くらいに納めること。
3、その差を打ち消すために、次の丸太の太さを選ぶこと。
4、どうしようもなくなったら、「必殺ロックノッチ」を使うこと。
5、最終段は水平(または末口+α)くらいになるように調整していくこと。
まったく初めてでも、3段くらいやると慣れてしまうし、楽しいものです。
それ以降は短調過ぎて挫折してしまう人もいるくらいです。
むしろ、ここをどう乗り切ることができるか、が一番難しいところかも?
最後のころがまたオモシロイのですがねぇ。笑
ま、気楽にやったらいいですよ。所詮ログハウスは隙間が空くもんですから・・・。笑
隙間が空いたら泥や苔を詰めときゃいいです。これは大昔の話ですが、今はチンキング用のコーキング剤があるのでこれを活用したらいいでしょう。
★お願い★
●この記事の内容は、あくまでボク個人の方法や考え方です。
同じ物事でもいろいろな方法や考え方があります。
したがって、この記事に関しての議論・反論には応対しませんのでご承知ください。
●ただし、こういう記事を書いて欲しいというような要望やリクエストにはできる限りお応えしますので、コメント欄にお書きください。
●建築基準法の内容については情報が古いかもしれませんので、最新のもので確認してください。
やれやれ一段落です。どうも付録的な内容が多くなってしまうなぁ~。もっと端的に書くべきかなぁ?
次回からはいよいよ実際の作業について書いてみましょうかね。
丸太の皮はどう剥くのか?とか。
メジャーは常用として測定長が5mくらいで25mm幅がいいです。腰折れせずに2mくらいまで測れます。
よく落とすので頑丈なヤツがいいでしょう。スケールとかコンベックスとかも呼ばれますが何が違うのでしょうかね?
その他に使う丸太長によって、8mとか10m用を揃えておくといいですね。
レベルは50cm長くらいが標準ですが、壁の上部で使ったり腰袋に入れておくには30cm長もあると便利ですよ。


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最終更新日 : 2021-04-13