★自然の丸太を積み上げるハンドカット・ログハウスをセルフビルドするためのワンポイント・ノウハウです。
今回は、丸太の皮の剥き方です。
コレが一番初めの作業になるんですが、一番単純で根気のいる時間のかかるやっかいな作業なんですよ。笑
でも、これは避けて多れない道なのですねぇ。
【皮の種類】
★荒(粗)皮:一番表面の粗っぽく硬い皮です。
この皮を剥くと乾燥が早まります。剥かないでおくと虫食いだらけになることもあります。
★薄皮(甘皮):荒皮を剥いた後に残る薄ーい膜です。目には見えにくいのですがあるのです。
この皮を取らないとカビが生えやすくなります。特に夏伐りのとき
杉丸太の皮むき風景です。荒皮を剥いた後の木肌はいいですねぇ。

【皮剥きの道具】
一般的な杉材では次のような道具を使います。
リーズナブル的には、鎌かスクレーパーがいいでしょうね。
左から、短柄スクレーパー、長柄スクレーパー、鎌、ドローナイフ(銑=せん)

★スクレーパー:
パテ塗用のペラペラのではなく、削り取り用の厚めでガッチリしたものを使います。これは押して使います。
柄の短いものと長いものがありますが、長い柄は両手で使うので力が入りやすいですね。まあ、これは好みですかね。
※輸入材のダグラスファー(米松)などは荒皮が3cm厚もあるので、鉄棒の先に斧みたいなのが付いた頑丈なものを使いますよ。
★鎌:
お手軽で意外と便利です。どんな形、厚さでもいいです。引いて使います。
★ドローナイフ:
これはログビルダーのシンボル的な道具の一つですね。
当時はこれを持っていないと気恥しいようで、ボクも手づくり(高かったので)しましたよ。でも、一度も使ったことがありません。まさにシンボルですね。笑
けっこうキレイに仕上がります。引いて使いますが、かなりの重労働です。
アメリカなどでは専門業者がいてログビルダーよりも賃金が高いとか。
日本の手カンナ掛けと同じで表面仕上げには優れています。こだわり次第ですが、まあ、必要ないでしょう。価格も高いしね。
ちなみに、日本にもあります。銑(せん)と呼ばれ、家具や桶や樽を作る道具として使われています。
★ログウィザード:
これも電動のヤツとか何種類か見たことがありますが、なかなかキレイに剥くのは大変です。けっこう傷だらけにしてしまいますよ。効率はいいのですがねぇ・・・。
機械によっては深さを調整できないので、身も深く削れてしまいます。鉛筆削りができちゃうほどですから。
【どんな時期に伐った丸太を使うか?】
木を伐った時期によって皮が剥きやすいかどうかが変ります。
出来れば冬伐りを使いたいですが、夏切りでも特に支障になることはありません。
★夏伐り:
一般的に、春の彼岸から秋の彼岸まで(4~9月)に伐った木のことです。
水分を吸い上げている時期なので、荒皮の下が濡れています。剥がし口を開けて引っ張ると、ビラーっと長く剥けてしまいます。これはすごーく楽ですよ。
水分が多いので重いですが、1~2か月経つと水分が抜けて、けっこう軽くなります。3か月も経つと細かい筋状のヒビが入ってきます。特に夏の時期は。
※このヒビがスクライブの邪魔をするので気をつけて!
★冬伐り
反対に、秋の彼岸から春の彼岸まで(10~3月)に伐った木のことです。
荒皮は乾いていて、剥きにくいです。少しずつ削り取るように剥いていきます。コツコツとシミジミと根気よく剥いていきます。
※以前にも書きましたが、建材などはこういう材を使います。水分が抜けているので軽くもなっています。
冬の年内のうちに伐り倒し、枝を落さず3か月ほど放置しておくことを葉枯らしと言います。そして春になったら枝を落して搬出するのです。
【丸太の表面を削るか削らないか?】
丸太の表面はけっこう凸凹しています。
枝の付け根は盛り上がっていたり、窪みになっていたりします。また伐り倒したとき当たり傷や、運搬・搬出時の重機の爪痕などの傷があったりします。
これらを部分的に補修して使うか、全面削ってしまうかの選択です。
★削らないでスベスベ木肌をそのまま使う
荒皮を剥くと、それはそれは見事な飴色、キレイだぁ!と思うはずです。特に夏伐りは。この木肌のまま使いたいと思うことでしょうね。(上記の写真参照)
節跡や傷が少なければ、これを補修する程度だけ削って使う方法です。
ただ、表面には薄皮が残っているのでこれを取り除かねばなりません。カビが生えてしまいます。
これは金属メッシュタワシで簡単に取れますが、それなりの地道な手間が必要です。
枝の付け根の凹みなどは、先の細い金属片やスクレーパーなどで掃除します。
※プロは長靴に穴が空くほど強力な洗浄機のようなもので剥いてしまいます。
傷をできるだけ少なくしたいので、伐倒時にも搬出時にもかなり気を使って扱います。ので、スゴイ手間と費用がかかります。
知り合いのところのログ壁です。ご参考までに。
けっこう傷や節があったのですが、人海戦術で手剥きしたものです。
透明の保護剤が塗ってあります。ところどころに削った跡がありますが、それほど違和感はないですよ。

★削って成型して使う
曲面カンナで全面的に一皮剥いてしまう方法です。道具は電動曲面カンナを使います。
その名のとおり底面が凸曲面になっていて凸凹も削れます。
右が平面カンナ、左が曲面カンナです。
下にある部品は、曲面半径の小さいベースに取り替えた後の部品です。つまり元々の部品。

ツヤツヤ感はなくなってしまいますが、ある程度成型できるので、均一になり作業性がよくなります。
キズが多くひどい場合はこの方法がいいでしょうね。
ちなみにこの作業は、丸太を選定して上下左右を見極めた後に削ります。つまり加工作業の最初に1本ずつ削るということです。
ポイントは、円周は丸く丸くなるように、刃を出し過ぎないこと。そうしないと何角形かになってしまいます。
それから横から見たときに平らに平らに(特に上下になる面)削ることです。これはグルーブに影響してしまうからです。
凹みを取り去ろうとする削りすぎにも注意です。ほどほどに削っておきます。
丸太の上下面を決める作業後に、節などの凸凹や傷が側面にくる場合は一つのアクセントにしてもいいかと・・・。そのあたりは刻みがすべて終わったあとの点検時に仕上げます。

以上です。
こういう作業は、家族総出、親類縁者、友達、友達の友達、通りがかりの人など、大勢集めて一気にやってしまうことです。けっこう楽しんでやってくれますよ。たぶん。
★お願い★
●この記事の内容は、あくまでボク個人の方法や考え方です。
同じ物事でもいろいろな方法や考え方があります。
したがって、この記事に関しての議論・反論には応対しませんのでご承知ください。
●ただし、こういう記事を書いて欲しいというような要望やリクエストにはできる限りお応えしますので、コメント欄にお書きください。
●建築基準法の内容については情報が古いかもしれませんので、最新のもので確認してください。
今回は図解が少なくてよかったわ。とはいえ写真がすぐ見つかればいいのですが、なかなか見つからないのですよ。
で、撮り直しとかなると、これまた面倒でねぇ。
さてと、次回からはいよいよ実際の作業について書いてみましょうかね。まだ決まっていませんが。
今日は暖かかったのですが、南風が強力に吹いています。午後からは雨になりました。
春の嵐ってヤツですね。咲き始めたサクラが散らなきゃいいんですがねぇ。
【参考情報】
スクレーパー(短柄)
スクレーパー(長柄)
ドローナイフ(銑=せん)
ログウィザード(これとは別に電動の一体型があるのですが、楽天にもAmazonにも見当たりませんでした。)
金属メッシュタワシ
電動曲面カンナ
これはマキタ製1003Bです。初めは重く感じますがすぐに慣れますよ。軽いHiKOKI製もあります。
どちらも最小曲率半径が800mmくらいで、深くはえぐれない(小さいRが削れない)ですが、丸太の表面削りには使えるでしょう。
マキタ製で廃盤になってしまったのですが、1002Bというのがありました。これは半径300mmで深く削ることができます。
1003Bの下部ベースを交換すれば1002Bに変更できました。以前はこの部品代が6000円くらいだったと思います。補修部品として注文するば入手できるかと思うのですが。
このタイプにすると、スカーフ削りやホゾ組の角材成型にも使えますよ。これ1台で表面削りにも使えるので便利です。
スカーフ削りを練習しているところです。



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今回は、丸太の皮の剥き方です。
コレが一番初めの作業になるんですが、一番単純で根気のいる時間のかかるやっかいな作業なんですよ。笑
でも、これは避けて多れない道なのですねぇ。
【皮の種類】
★荒(粗)皮:一番表面の粗っぽく硬い皮です。
この皮を剥くと乾燥が早まります。剥かないでおくと虫食いだらけになることもあります。
★薄皮(甘皮):荒皮を剥いた後に残る薄ーい膜です。目には見えにくいのですがあるのです。
この皮を取らないとカビが生えやすくなります。特に夏伐りのとき
杉丸太の皮むき風景です。荒皮を剥いた後の木肌はいいですねぇ。

【皮剥きの道具】
一般的な杉材では次のような道具を使います。
リーズナブル的には、鎌かスクレーパーがいいでしょうね。
左から、短柄スクレーパー、長柄スクレーパー、鎌、ドローナイフ(銑=せん)

★スクレーパー:
パテ塗用のペラペラのではなく、削り取り用の厚めでガッチリしたものを使います。これは押して使います。
柄の短いものと長いものがありますが、長い柄は両手で使うので力が入りやすいですね。まあ、これは好みですかね。
※輸入材のダグラスファー(米松)などは荒皮が3cm厚もあるので、鉄棒の先に斧みたいなのが付いた頑丈なものを使いますよ。
★鎌:
お手軽で意外と便利です。どんな形、厚さでもいいです。引いて使います。
★ドローナイフ:
これはログビルダーのシンボル的な道具の一つですね。
当時はこれを持っていないと気恥しいようで、ボクも手づくり(高かったので)しましたよ。でも、一度も使ったことがありません。まさにシンボルですね。笑
けっこうキレイに仕上がります。引いて使いますが、かなりの重労働です。
アメリカなどでは専門業者がいてログビルダーよりも賃金が高いとか。
日本の手カンナ掛けと同じで表面仕上げには優れています。こだわり次第ですが、まあ、必要ないでしょう。価格も高いしね。
ちなみに、日本にもあります。銑(せん)と呼ばれ、家具や桶や樽を作る道具として使われています。
★ログウィザード:
これも電動のヤツとか何種類か見たことがありますが、なかなかキレイに剥くのは大変です。けっこう傷だらけにしてしまいますよ。効率はいいのですがねぇ・・・。
機械によっては深さを調整できないので、身も深く削れてしまいます。鉛筆削りができちゃうほどですから。
【どんな時期に伐った丸太を使うか?】
木を伐った時期によって皮が剥きやすいかどうかが変ります。
出来れば冬伐りを使いたいですが、夏切りでも特に支障になることはありません。
★夏伐り:
一般的に、春の彼岸から秋の彼岸まで(4~9月)に伐った木のことです。
水分を吸い上げている時期なので、荒皮の下が濡れています。剥がし口を開けて引っ張ると、ビラーっと長く剥けてしまいます。これはすごーく楽ですよ。
水分が多いので重いですが、1~2か月経つと水分が抜けて、けっこう軽くなります。3か月も経つと細かい筋状のヒビが入ってきます。特に夏の時期は。
※このヒビがスクライブの邪魔をするので気をつけて!
★冬伐り
反対に、秋の彼岸から春の彼岸まで(10~3月)に伐った木のことです。
荒皮は乾いていて、剥きにくいです。少しずつ削り取るように剥いていきます。コツコツとシミジミと根気よく剥いていきます。
※以前にも書きましたが、建材などはこういう材を使います。水分が抜けているので軽くもなっています。
冬の年内のうちに伐り倒し、枝を落さず3か月ほど放置しておくことを葉枯らしと言います。そして春になったら枝を落して搬出するのです。
【丸太の表面を削るか削らないか?】
丸太の表面はけっこう凸凹しています。
枝の付け根は盛り上がっていたり、窪みになっていたりします。また伐り倒したとき当たり傷や、運搬・搬出時の重機の爪痕などの傷があったりします。
これらを部分的に補修して使うか、全面削ってしまうかの選択です。
★削らないでスベスベ木肌をそのまま使う
荒皮を剥くと、それはそれは見事な飴色、キレイだぁ!と思うはずです。特に夏伐りは。この木肌のまま使いたいと思うことでしょうね。(上記の写真参照)
節跡や傷が少なければ、これを補修する程度だけ削って使う方法です。
ただ、表面には薄皮が残っているのでこれを取り除かねばなりません。カビが生えてしまいます。
これは金属メッシュタワシで簡単に取れますが、それなりの地道な手間が必要です。
枝の付け根の凹みなどは、先の細い金属片やスクレーパーなどで掃除します。
※プロは長靴に穴が空くほど強力な洗浄機のようなもので剥いてしまいます。
傷をできるだけ少なくしたいので、伐倒時にも搬出時にもかなり気を使って扱います。ので、スゴイ手間と費用がかかります。
知り合いのところのログ壁です。ご参考までに。
けっこう傷や節があったのですが、人海戦術で手剥きしたものです。
透明の保護剤が塗ってあります。ところどころに削った跡がありますが、それほど違和感はないですよ。

★削って成型して使う
曲面カンナで全面的に一皮剥いてしまう方法です。道具は電動曲面カンナを使います。
その名のとおり底面が凸曲面になっていて凸凹も削れます。
右が平面カンナ、左が曲面カンナです。
下にある部品は、曲面半径の小さいベースに取り替えた後の部品です。つまり元々の部品。

ツヤツヤ感はなくなってしまいますが、ある程度成型できるので、均一になり作業性がよくなります。
キズが多くひどい場合はこの方法がいいでしょうね。
ちなみにこの作業は、丸太を選定して上下左右を見極めた後に削ります。つまり加工作業の最初に1本ずつ削るということです。
ポイントは、円周は丸く丸くなるように、刃を出し過ぎないこと。そうしないと何角形かになってしまいます。
それから横から見たときに平らに平らに(特に上下になる面)削ることです。これはグルーブに影響してしまうからです。
凹みを取り去ろうとする削りすぎにも注意です。ほどほどに削っておきます。
丸太の上下面を決める作業後に、節などの凸凹や傷が側面にくる場合は一つのアクセントにしてもいいかと・・・。そのあたりは刻みがすべて終わったあとの点検時に仕上げます。

以上です。
こういう作業は、家族総出、親類縁者、友達、友達の友達、通りがかりの人など、大勢集めて一気にやってしまうことです。けっこう楽しんでやってくれますよ。たぶん。
★お願い★
●この記事の内容は、あくまでボク個人の方法や考え方です。
同じ物事でもいろいろな方法や考え方があります。
したがって、この記事に関しての議論・反論には応対しませんのでご承知ください。
●ただし、こういう記事を書いて欲しいというような要望やリクエストにはできる限りお応えしますので、コメント欄にお書きください。
●建築基準法の内容については情報が古いかもしれませんので、最新のもので確認してください。
今回は図解が少なくてよかったわ。とはいえ写真がすぐ見つかればいいのですが、なかなか見つからないのですよ。
で、撮り直しとかなると、これまた面倒でねぇ。
さてと、次回からはいよいよ実際の作業について書いてみましょうかね。まだ決まっていませんが。
今日は暖かかったのですが、南風が強力に吹いています。午後からは雨になりました。
春の嵐ってヤツですね。咲き始めたサクラが散らなきゃいいんですがねぇ。
【参考情報】
スクレーパー(短柄)
スクレーパー(長柄)
ドローナイフ(銑=せん)
ログウィザード(これとは別に電動の一体型があるのですが、楽天にもAmazonにも見当たりませんでした。)
金属メッシュタワシ
電動曲面カンナ
これはマキタ製1003Bです。初めは重く感じますがすぐに慣れますよ。軽いHiKOKI製もあります。
どちらも最小曲率半径が800mmくらいで、深くはえぐれない(小さいRが削れない)ですが、丸太の表面削りには使えるでしょう。
マキタ製で廃盤になってしまったのですが、1002Bというのがありました。これは半径300mmで深く削ることができます。
1003Bの下部ベースを交換すれば1002Bに変更できました。以前はこの部品代が6000円くらいだったと思います。補修部品として注文するば入手できるかと思うのですが。
このタイプにすると、スカーフ削りやホゾ組の角材成型にも使えますよ。これ1台で表面削りにも使えるので便利です。
スカーフ削りを練習しているところです。



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最終更新日 : 2021-04-13